コラム１ 「そこそこいいのがいいな・・」１ 佐渡のタウン誌「佐渡国」に１９９９年度以前に掲載された分です 最新掲載順
２０００年度掲載分
２００１年度掲載分
２００２年度掲載分
自然リサイクルは可能？ ９９／１２月号掲載分
千年期とか言っても日常ではただの一年であるし、あっと言う間にまた一年経ったなと思う。
しかし、この一年、変化の兆しがいよいよ形になって来たようである。
変化を迫るものとは、情報技術革新と環境問題がそれである。
佐渡も、いや、佐渡だからこそ尚、変わることを迫られていると思える。
特に、後者においては、環境の優良証明とも言えた朱鷺も全国的話題となり、当面策、恒久策とも対策を迫られている。
ここはやはり、自然リサイクルの可否が問われるところではないだろうか。
アメリカで２０年ほど前、日本で８年前、「エントロピーの法則」という本がベストセラーとなった。
熱力学第二の法則とて、要は、「覆水盆に帰らず」という地球環境の危機を喚起した内容であった。特に我が頭に焼き付いているのは、燃やしたら「元には戻らない」ということである。
この法則の延長線上に、もう朱鷺が佐渡の空を飛ぶことは無いということがあるのだろう。
我々は、相も変わらず生活の向上を追い、「エントロピーの法則」の進行を証明している。山を崩してビルに変え、飽衣飽食はゴミの山を作り、ゴミ処理場で煙りにして良しとした。ところが今度は、有害だから煙りを出すなという。まさに、自然リサイクルを考えなければならなくなったのではないだろうか。
幸か不幸か佐渡は島であるからして、島内のゴミは、島内で処理しないと目立つことこの上ない、自分の尻は自分で拭くことを要求されて当然だが、処理に困る物が山に放置され、海に捨てられる運命にある。
佐渡は、正に日本のゴミ問題を先進的に抱えている。
そんな折り、羽茂町が自然リサイクルで有機堆肥を作るテストをしているという話を聞いた。ゴミの５０％を占めるという生ゴミは勿論、畜糞、木屑、モミ、ワラ等を一カ月という短期で有機堆肥とし、化学肥料で無機化した土を有機化出来、安全美味な農産物が生産出来るという。
堆肥になるなら燃やさなくて済む、煙りは出ないのである。
有機肥料、飼料が島内で自給出来れば佐渡の一次産業は脚光を浴びるだろう、自然豊かな島で安全、美味な食物が生産されると。
化学肥料使用による効率で得た「物質的豊かさ」を失うかも知れないが、それも「精神的豊かさ」を求めて、時代はようやく変わりつつあると思う。
世の中が、安全な環境、食物を求めて変わりつつあります。
日本で「一番自然豊かな島佐渡」が、この変革を模索し、結果を確かめるに最適の地域であり、自然リサイクルに向けて行動することに何の不思議はない。一例を挙げた有機堆肥自給自足は、肥、飼料を島外から買わずに済み一次産業の島内粗利額を上げ、安全と美味の声価は高まり、島外に販路が拡がる。
文字通り一石二鳥であり、実現したら朱鷺が再び空を舞うのも夢ではないような気がして来ますね。
すなわち、自然リサイクル・テーマパーク佐渡。
まあ 他人にせっつかれてやるのは誰しも嫌なもの、それぞれのペースでやりますか、ただし、間に合うように。
泰（たい）
ご参考までに。
＊ 「エントロピーの法則」の著者の近著
「バイテク・センチュリー」 ―遺伝子が人間、そして世界を改造する
ジェレミー・リフキン
訳＝鈴木主税
集英社
１９９９／２
世界的ベストセラー『エントロピーの法則』のJ・リフキンが、めざましい進歩
を遂げるバイオテクノロジーの危険性を警告する衝撃の21世紀論。
ISBN4-08-773314-9 C0097
四六判 376ページ
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豊かさの基準は？ ９９／１１月号掲載分
ある人が畑に傍らの溝からカメで水を汲み、大汗かいて畑に注いでいる男に出会いました。
そこで、もっと楽で能率の上がる仕掛けを使ったらどうかと助言したところ、男は、その仕掛けの説明を聞き、笑って云いました。
昔から聞いていることがある、機械を使うものには必ずその機械の仕事が出てくる。機械で仕事をするものはまた必ずもっと便利な機械を使いたくなる、ひとたびこの心が起こってしまうと、もうその人間は本来の目的を見失ってしまう、すると精神も定まらず、行く道に迷うことになる、それゆえその機械の事は知っているが使う気がないのだと云いました。
２５００年ほど前の話だそうです。
また、ある人が南洋の島へ行った時のこと。
島の人達がぶらぶらしている、で「お前達働いたらどうだ」「働いたらどうなる？」「俺たちのようにいい洋服が着れる」「それから？」「いい車に乗れる」「それから？」「いい家に住める」「それからどうなる？」「のんびり出来る」「俺たちはもうのんびりしている」３０年前の小話であります。
「昨今我が邦でも、或いは世界全体でも、物質文明の過剰を主因とする公害の氾濫がラジオ、新聞等日々の報道機関を賑わしている。よって、この出版を意義あるものと考える」と、諸橋轍次氏は「老子の講義」の序（１９７３年出版）で述べた。
＊ 環境負荷値、国別比較(1995)（消費にかかわる環境負荷値、世界平均を１とした場合）
台湾 ３・４２
アメリカ２・７４
日本、韓国、カナダ、２・３５
フランス１・５８
ドイツ １・５２
イギリス１・４３
中国 ０・８５
資料WWF「LIVING PLANT REPORT1998」
だが、中国も無論、文明進化を望んでいる。
（２０年前の一寒村、現在、人口２００万の産業都市、香港に隣接するシンセンは更に拡大しつつある）
今、新たに従来志向農業を志すと、資金が２０００万円掛かるとか。
おりしも、新幹線トンネル内の崩落、原子力発電関連事故、等、文明進化故の事故は益々増えるとされている。
一方、佐渡の冬場の強風を、禍を転じて福としようと風力発電に利用、加えて水力、太陽熱発電を利用し、自然と共生する農業、漁業、を試している方がおられます。
豊かさの基準が変わると佐渡の将来は変わるかも知れませんね。
佐渡は、自他に存在を証明を出来るか ９９／１０月号掲載分
人は、自らを認め、人にも認められたいと思うもの。
９月半ば、佐渡にとってその「存在証明」を問われる集まりがあった。
２００１年スタートの「新しい県の長期計画」策定に関する知事と佐渡市町村長との意見交換会（佐渡地域）がそれである。
石塚町村会長発言
一島一市合併については、前回、昭和２８、９年の合併では、国に引きずられたが、今回はやらなければならないと認識している。
島内では、青年会議所が掛け声を掛けたが盛り上がらなかったし、各首長も戸惑っているというのが現状である。
皆、地方分権による合併は中央から捨てられるのではないかと懸念している。
以下、各首長次々述べるが、上記を証明するかのように、県の意見を先ず聞きたいとか、ほかの問題についても個別事情への理解、協力を知事に求めるに止まる。
知事答弁
合併については、地方の個性の発揮を求めながら、アイディンティティの薄れる合併は矛盾していないか、の確認をしながら主体性は尊重する。
すなわち住民には、便益を損なっても、精神的充足を目的として合併をしないことも選択肢としてあることを示唆。
産業構造も農業、土木建築主体からの脱皮が必要と思う、例えば、コンピューターの利用産業などの促進。
一島として集約した場合、佐渡の住民は、新潟へ渡らなくても用事が済むようになれば、メリット大ではないか。
等、の答弁であった。
新潟県を、６地域（下越、新潟、中越、魚沼、上越、佐渡）に分け、人口３％強の佐渡がその一つとなったのは歓迎であるが、首長たちは、過疎化対策に新産業育成などの人口移動策に触れず。
住民の意見をすくい上げるのであれば、インターネットによる情報の開示、共有化、が不可欠であるが、Ｅメールすら使わない首長のＩＴ（情報技術）への理解では期待出来るのだろうか？。
また、島内には十有余の活性化グループがあり、お雇い学識経験者だけでなく彼らからも意見をすくい上げるべきではないか。
今後、１１月に具体案作成というが、前５回に、島内の意見をどうすくい上げていたのか不透明であり、住民は今後に注目すべきではないか。
また、目的が＜県民参加による計画作り＞であるならば、佐渡島開発総合センターではなく、多数の住民が傍聴出来る佐和田のアミューズメントなどであれば、行政の説明責任も存在証明も充分果たせたであろうと思われる。
既得権者、体制派の立場に依らない、佐渡人の「存在証明」が提示されるといいな。
どう折り合いを付けましょうか？ ９９／９月号掲載分
環境庁長官が、佐渡の空に再び朱鷺が舞えばいい、と云ったとか。
また、佐渡独立論というのが二昔位前あったと聞く。
リップサービスとして似たような話である。
しかし、独立と言えば、自主独立、自衛が前提であり、現状からすれば、途方もないことである。
佐渡は自給自足で食えるからと云ったそうだが、非住民の放言であろう。
独立論はともかく、朱鷺復活という環境回復論と、佐渡経済自立という便益保障論に、折り合いを付ける時期が来たのではないだろうか。
すなわち、何を失って、何を得るのか？を確かめる時ではないだろうか。
現状の佐渡経済は、一割自治と自嘲し、地場の一、二次産業は販売不振による後継者不足、観光も落ち込み、製造業も補助金なしにはやっていけない惨状である。
自立した経済とは、島外への販売粗利で島内の生活費と産業維持経費を賄え、更に、非常に備えて内部留保がなければならない。
国の施策は、領土において居住平準化を目的とした地域振興補助金は欠かさないであろう。
しかし、貿易黒字を抑えられた日本経済に、補助を現状維持する余力は望めない。佐渡経済収支としては、減じた分を補うため、出るを制し、入るを計る戦略は不可欠である。
島外販売額（観光含め）を伸ばすには、島外との情報共有が不可欠である。
となれば、ＩＴ（情報技術）のインフラ整備が不可欠となる。
県営のネスパス（原宿）などは点でしかないが、インターネットによる広報、情報の共有はネットワークである。
また、島内インターネット機器、受発信を無料とすれば、ベンチャー企業やＳＯＨＯ志望者を呼び、過疎解消の最強手段となる。
更に、対面手段の改善として空路国際線乗り入れ可能となれば鬼に金棒であろうし、インフラが整備されれば、その利便にベンチャー企業が群がって来て、経済自立が見えてくる。
佐渡経済自力更生は、発想の転換が必要である。
例えば、地理的条件、気候風土から見ても、日本の佐渡から、世界の佐渡へと飛躍する条件が揃っている。
この佐渡の魅力を世界に知らせる生命線も、インターネット環境と空路の整備ではないだろうか？。
一方、環境問題のお手本となるべく、食料の自給率１００％と、衣服は洗い代えの保有程度に止め、島民全員が軽自動車使用、等、を徹底する。
足る知って出るを制し、中国からの酸性雨を、非難出来るほどの低公害生活を営めたら、環境リトマス試験紙「朱鷺」は蘇り、世界は佐渡を認め、一目置かざるを得ない。これこそ自衛というものであろう。
自然を満喫するたびんもんと、自立の誇りを持ち、佐渡材の家に住み、暗い冬さえも「春のうれしさが倍加するよ」と、悠々楽しむさろんもんが交流出来ればと夢見るのですが・・。
さて、どう折り合いを付けましょうか？。
気が付いたら変わる ９９／８月号掲載分
佐渡の粗利額を増やすに、観光業は大きな位置を占めるが、これに関する興味深い資料を見た。
奇しくも、筆者が佐渡へ通い始めた昭和６１年（１９８６）作成、「佐渡観光振興対策事業調査報告書」（新潟県）である。
上越新幹線開通を見、関越道開通を控えて、佐渡観光及びその波及効果と三次産業への期待を込めて行った事業であり、以後、これに類するものは、平成１０年１０月（１９９８）作成の「佐渡観光における増減要因に関する分析」（佐渡汽船）しかないという。
この両資料を改めて比較すると、佐渡観光対策の今後が見えて来るのではないだろうか。
何故ならば、前者は提案であり、後者は結果報告であるから。
前者は云う、＊生産現場・光景の観光利用、＊展示・ＰＲ施設の整備、＊レクリエーション・体験施設の整備、＊土産品、飲食物としての活用、＊関連イベントの開催、＊類似施設・地域めぐりの演出、等を増強すべしと。
後者は云う、「佐渡は１度行かぬバカ、２度行くバカ」と云われていたが、当社グループの施設が整備されるに従い、このような言葉も聞かれなくなって来ていると。
両者ともに、自然探勝や個人客は眼中にない。
佐渡の自然資源は、大野亀、尖閣湾をＢ級、ドンデンをＣ級とし見るべきものはないとの看方であり、大型バスの寄れないところは無視である。
前者のアンケート結果を見れば、自然探勝を禄にさせていないにも拘わらず、感嘆していることが明らかなのだが、それへの対応はなかったのだ。
かくして、気が付いてみると旅行会社好みの個人客の近寄らない観光名所が出来た。
前者資料によると、観光目的来訪回数は１・６回である。後者の分析項目にはないが、今も、変わらないのではないか？。宿泊設備の稼働率が、他地域同業の半分という数字と共に。
何故なら、一度見たら１０年は来なくて済む施設ばかりが増えており、自然探勝コースも旧態依然、交通の利便性も改善されてはいないからである。
個人客向けキャンプ場が増えたといっても、囲い込まれる家畜のごとき環境では、街住みの非日常を求めて来た人達の不評も無理はない。
これらは、前者の提案を受け入れて対策したが、一部の体験設備を除いては、リピーターは増えなかったという数字が残ったのではないか？。
１０年先は読めないという、著名な学者の予測でも、当たった試しはない。
しかし、それでも世の中は変る。
問題は、安定を求め、変化を受け入れたがらない人間の性（さが）にあるのだろう。
しかし、商売であるならば、このへんで素直にお客の好みを聞いてみてはどうだろうか？。
この４月、両津市商工会による「ちょっと寄ってくらん誌」という、タウン誌が作られた。
たびのもんにも好評であるが、一つ、気になったのが、市民アンケートによる＜観光客を連れて行きたいところ＞「ベスト５０」ランキングである。
例を挙げると、ドンデンが大野亀より、本間家能舞台がロボット能より低く、杉池や山居の池が下位にあるのは、まさに、需給のミスマッチかと。
同様傾向について、今後の案内書作成時は、是非、見込み客の好みを確かめていただきたい。
知って貰わなければ始まらない、しかし、合わなければそっぽを向かれてしまう。
人間、気が付けば変れるものである。
佐渡の魅力は自然のゆったりした雰囲気である。
人工的改変には、特に留意をお願いたい。
知って貰わなければ始まらない ９９／７月号掲載分
前にも触れましたが、佐渡青年会議所が、リピーターを増やそうという目的でガイドマップを作るそうで、おおいに期待したい。
例えば、東京は、人工的で、ゴミゴミして、うるさく、渋滞と満員電車が日常であるからして、佐渡は丸ごと非日常である。
だが、果たして佐渡の魅力を知らせていたのだろうか？、このような街住みの人達の欲する非日常を。
非日常であれば、驚き、歓び、リピーターとなる。入り込み数はそうならなかったと示している。では、非日常はなかったのだろうか？。
パソコン通信の最大手ニフティ（会員２７２万人）に、FISLANDという島のフォーラム（溜り場）がある。
だが、佐渡は影が薄い。南海の孤島で、自転車で一周出来るようなのが島のイメージらしい。
だが、悲観するなかれ、彼らは、佐渡を知らないだけなのだ。
海は澄んで、高山植物もある、空は、箱根の山中より星が見える、海から１０分も走らずに森林浴が出来て、岩魚を釣りながら海が見え、植物や魚類は、南限、北限に接してどこよりも豊かであることを。
ただ、知らされていないのである、金山、朱鷺、流人の島としか。
或いは、知らせる気が無いような気もする。
例を挙ると、鬼太鼓IN原宿。あれはほんとに勿体ないといつも思う。あれだけ佐渡人の心意気が盛り上がっているのに、ＪＲに吊り広告どころか、原宿駅の出口に案内板もない。
島人会と思うのか、友人、知人を連れて来る様子がない。鄙びた故郷を恥じているのだろうか？、今や、街住み人間、憧れの「癒しの島」だというのに。
お知らせに面倒は全く要らないと思いますよ。
佐渡の懐深い自然を紹介しながら、＜佐渡コシヒカリの山海珍味ちらし寿司＞を沖汁で食べさせたら東京もんはいちころです。
佐渡らしい自然を味わいに行くと、休日でも誰もいない。
たびのもんには知らされていないし、地元の人はわざわざ行くほど珍しくはないからだ。
大半の客は地場のものはなかなか食べられない、いつも食べているものは、たびのもんには薦めないからだ。
しかし、彼らにして見れば、非日常＜しか＞味わいたくないのである。やはり、欲しがってるものを与えていない、と思えてしまう。
北海道の或る島は観光客の船賃を自治体が予算に組んだそうです。佐渡も交通費を自治体持ちにした場合、３割以上観光客が増えれば元が取れるそうです。佐渡の魅力なら、それ以上来ますよ。東京から往復２万円だったら！
それから、新幹線の「あさひ」を「とき」に戻しましょうよ。
ＮＴＴは、海底光ケーブルを５月末に敷き終わり、インターネットインフラは整いつつあります。佐渡自立化の原動力として、情報技術活用に補助金を最優先で振り向けるべきではないかなあ。
そして、民宿、旅館、ホテル、物産業が、ホームページに佐渡らしい情報を載せたなら、彼らは非日常を味わい、真の佐渡ファンになり、新しい交流が生まれることでしょう。
癒しの空間、ヒーリング・アイランド佐渡に。
ＩＴ（情報技術）は佐渡を変えられるか？ ９９／６月号掲載分
年々元気がなくなって行くかに見える佐渡は、このまま、＜認められない佐渡＞で朽ちて行くのだろうか？、高齢化し、Ｕ，Ｉターンが増えず、観光客が減って行くということは、島内にも、島外にも存在価値を認められていないということである。
しかし、佐渡の魅力を、島内では認めないが、島外では認めている象徴的な例がある。
ドンデンのロッジが閉館し、ＪＲ東日本の素泊まり施設が小川に開館する。需給のミスマッチを物語ってもいる。
ＪＲにドンデンのロッジを任せたら良かったなどといっても後の祭りである。
何故こうなったのか？。
マーケティングとは！などと大上段に振りかぶらなくても、欲しがっているものを、買える値段でお薦めするという原点に戻ればよいのではないだろうか。観光旅行が、年に一回、会社の慰安旅行に連れて行って貰うだけだった時代は２５年も前のことである。
その頃は、リピートなど期待出来まい、しかし、いまや、国内旅行は年／１億２０００万人、お父さんだけが年に一回旅行出来た時代とは様変わりである。いかにリピーターを、いかに滞在日数を、増やすかである。
ゴールデンウイークの朝、二日間、ホテルのコーヒーコーナーに居て見た。この時期、無論、法人団体客はいない。団体も、グループの寄せ集まり。例によって、一度見たら気が済むところばかり忙しく連れて行かれているようだ。個人でやって来たお客も手にするのは、同じく名所旧跡案内。
試しに、３、４組のお客さんと言葉を交わしてみた。
「佐渡にしかないとか、静かで、のんびりするところへは行かれます？」「行きたいけど、どこ？。神社仏閣はあまり興味ないんです」。
山桜、雪割草、カタクリ、の見られる山道、雪割草を売っているところ、能舞台、手打ちそば、手工芸品、そして、朝日、夕日、満天の星、地図にマークしてあげると、「回り切れなければ、又、来ますよ。今度は、薪能も見たいし」と笑顔で出発して行った。
行き帰りは安い団体利用、オプション企画で好きなコースを選べればあの笑顔ももっと増える。過去のアンケートでも、「佐渡の魅力は自然」と異口同音に言われているのである。
キーワードは、癒しの島、ヒーリング・アイランド佐渡。
変わる気配もある。佐渡青年会議所が、リピート対策用全島マップを作るという。両津商工会の作った「ちょっと寄ってくらん誌」全島版を期待したい。しかし、受益者たちの関心は薄く、冊子にする予算が足りないのでホームページに載せるだけになりそうとか。
必要なのは、個人客に、魅力ある企画や産直情報に気が付いて貰うことである。幸い、技術革新はインターネットによるホームページなどという、双方向通信に便利な、離島には強い味方をくれた。利用者は、年々、倍増なのだから。コンピューターで仕事が出来るようになり、好きな佐渡に住めると移住してくる人も現れた。
そう、ＩＴ（INFOMATION TECHNOLOGY）で佐渡は変われる。
変わる気になれば。
皆、どうしたいんだろ？ ９９／５月号掲載分
皆、どんな佐渡にしたいんだろ。何か、年々元気がなくなって行くなあーー。
４月１１日の、初めての一島一区県議選では保守系が独占した。
佐渡は、新たな産業振興や自然財産を誇る観光よりも、従来通りの土木工事へ、公共事業の名の下に、補助金を注ぐ構造を選んだ。
生存競争は世の倣いであるから生き残るにベターな方法を選んで当然だが、それが単なる手段であって、しかも、目的に向かっていなければ問題だ。地方分権、財政難、過疎化、高齢化、そして、不景気、などの言葉に目が眩んで問題の本質を見失っていなければよいがなあと。
いい人生とは、選択の自由があり、楽しいことがどれだけあるかによる、としている筆者にとって、長年の公共事業、補助金による影の部分、動脈硬化の構造がツケとなって、今この佐渡に、回ってきたなと感じる。
若者の、島外脱出願望、Ｕ，Ｉターンがままならないのもこれのせいかと。
動脈硬化は、職業選択の幅の狭さ、年功序列の染み付いた職場、納得していない地域行事による負担感、創業時の目的を失った家業の継承、等を訴えられ実感する。この閉塞感は、変わることを拒む土壌のせいではないだろうか。
公共事業に依存した企業では、社員に創意工夫やより良い仕事を達成したあかつきの「認められる喜び」はない。
雇用者は、当然ながら、社員を養っているという感覚であり、「認められる」にあたいする「評価」は年功序列しかない。その「評価」の基準も、云うことを、聞くか聞かないかであり、休まずに時間から時間までおとなしく拘束される社員が善しとされる。
こういった風土は、雇用者、被雇用者が疑問を持たない限り変わらない。
これは、地域活動でも言える。現状維持を目的とすれば同様である。
これでは、やる気があっても、つまらなくなり、元気もなくなる。
１００年前の元気人間、金井泉の北見喜宇作は、補助金もなく、新田開拓にダム作りを薦め、自立自助、合理化を説いた優れたリーダーシップの持ち主でした。政治家に選びたい人とは、まさにこのような人でしょう。
今回の選挙で佐渡は変らないことを選択した。
お上の金が当てにならなくなった時の佐渡はどうなるのか？。
自然の魅力が無くなった時の佐渡の観光はどうなるのか？。
そして自由と楽しさは得られるのか？
世の中は急速に変革しています。ＩＴ（情報技術）は、離島であれば浮ついた流行語ではなく実用効果が最大です。
離島佐渡のこれからの公共投資は、土木工事は必要を満たすのみとし、「起」業を促進補助し、自然景観の保護回復、格安なインターネット環境の整備、などが有効なインフラ整備と言えます。
これからは、一次産品は、産直インターネット通販。観光業は、予約可能なホームページがあり、現地情報が刻々と提供出来、エージェント一辺倒の営業から脱皮。等が出来て拡販に道が拓ける。
商店であれば、島外他地域同業との共同仕入れや共同企画で、大型店、問屋、メーカーに対抗出来る。
つまり、島外収入の粗利額拡大への投資が行われるか、でしょう。
スーパーダイエーの創業者中内前社長はやはり正しかったと思う。
４０年も前に、「お客が買える値段でなければ売れない」と言ったのだから。
佐渡の産品、観光も売れます。中内さんのいう「お客の欲しいもの」が「買える値段」であれば。今回は、待っていても景気は良くなりません。
痛み（代償）を伴わない治療もありません。求めよさらば与えられん。
あなたの元気を見せてくださいな。
問題って何だろう ９９／４月号掲載分
一月号に、問題山積と書きました。
しかし、問題とは何を指すのでしょう？人によって目的が違えば基準も変わり、したがって問題も違います。
近ごろ、どこへ行っても二言目には、不景気を問題としています。現状より収入が減ることを問題としているわけです。
世界に冠たる日本の対策「ＫＡＩＺＥＮ」は、常にその収入改善に向かっていました。しかし、どこまで改善すれば気が済むのだろう。
問題とは、はたして不景気なのでしょうか？。
私の世代は、継ぎの当たった服を着、食べるものに事欠き、居間と寝室は同じだったりしたものです。
それから４０有余年、今は、服は毎日替えて会社に通い、三食とも出来るだけ美味しいものを、出来るだけ沢山と飽食した揚げ句、余ったら捨て、住は部屋数や、広さを競う。
車は、軽自動車より５ナンバー、さらに３ナンバー、と新車を求め、明りは明るければ明るいほどいいと、室内外を問わず煌々と照らす、物は、大きさ、豪華さを競う等、果て無き願望の延長線上にあり、日本史上、かって経験したことのない物質的には豊かな時代を実現しました。
２０年前、初めての海外旅行で、欧米を回ったとき、我々日本人の目的が変だと気が付きました。先進国の暗さと粗食に驚いたのです。基準がどうも違うらしいと。
消費が美徳と云われたアメリカでさえ、＜必要を満たせばよい＞という基準が存在している。そして足るを知り、感性によって充足を味わう人がいる。
振り返って日本人のそれは、＜人並みに＞、＜人よりも＞の相対的価値観であり、ほとんどが中流意識を持ちはするが、個人の人生観も価値観も不明な果てしもないことに気が付きました。
しかし、日本は更に、＜欧米並み＞、＜欧米よりも＞、の水準を望んでやまず、得意の「改善」で輸出の拡大につぐ拡大でそれを達成し、ついにそれは、アメリカの嫉妬を招き、円高調整を見舞われ、バブルは弾けた。
けれども、いまだに＜人よりも＞競争から抜けられないようです。
そして尚、足るを知らず、その代償（ツケ）の大きさを測る事なく、目的なき改善を望んでいるのではないでしょうか。
歴史というデータは、戦争や環境破壊、或いは、一瞬の繁栄を謳歌した企業の倒産は、足るを知らずして招くツケだと物語っています。
すなわち、＜問題＞があるとすれば、「貪欲」が動機の改善ではないか。
ただ一羽、佐渡に残った純日本産朱鷺が、足るを知る島であるとの象徴であれば、「果てしない貪欲」に向けての改善は間違いということになります。
改善をするならば、足るを知って行いたいと考えております。
さて、間近に行われる県議選候補者諸氏に足るを知る人はいるのでしょうか。
幸せなリピーターを増やすには ９９／２、３月号掲載分
佐渡は、都市と対照的な事象に満ち、都市生活者を魅了する。
しかし、この幸せを味わった「たびのもん」は極く少ないようである。
佐渡の観光宿泊数が、年々減っていると、ここ数年毎年聞かされている。
ただ、正確な数字は発表されない、故に推定であるが。
しかし、料金値下げなどが行われているのはそれを証明しているのではないだろうか。
新聞等によると、入り込み観光客数はＨ３年をピークに下がり続けている。
ちなみに、昨年までの数字は、観光客全体では、１２１万人が９１万、と約２５％減。
特に関東からの入り込み客は、ピークから比較すると、約３６％減。
これは、ビジネス客も帰省客も含んでいる佐渡汽船の乗船客だが、観光客減も、そう違わないのではないだろうか。佐渡の礼讚者予備軍なのだが・・。
また、有料施設の入場者は入り込み減以上の減少を示している。
そして、これらはバブルが弾けた故と云われるが、果たしてそうだろうか？。
お客の立場に立って営業しているのだろうか？。１３年余り、半分以上佐渡にいる、首都圏出身のたびんもんの見聞きした現象からの疑問である。
毎週のように乗った佐渡汽船〜新潟駅間のタクシーの運転手さんいわく、「リピーターは１０人に１人」。
「一度来ないバ＊、二度来る＊カ」と昔から云われると教えられましたが、なるほどと思える数字です。いっぺん来たら気が済んでしまう人達がほとんどであり、春に来て、秋も又来よう、毎年でも来たいという人達が少ないわけで、一方、会社に慰安旅行に連れて来て来られて幸せと云う人はもう少ないのです。
激減の数字の中にそれは証明されています。すなわち、乗用車は１％も減っていないが、団体バスは３０％近くも減。
佐渡の魅力を知らされず、非日常の「驚き」に会えずに帰って行く観光客のいかに多いことか。佐渡の「日常」が、彼らの「非日常」なのにです。
対極の環境に住む都市生活者の憧れは？、彼らの＜非日常＞把握がカギではないでしょうか。
すなわち、狙いを絞らず、佐渡の魅力を体験させていない、伝えていない、「営業」ではないかと思えるのです。
作られたものばかり見せられる、これなら、ディズニーランドの方がいいという人に、一望の絶景と、佐渡の山中で満天の星空を見せ、杉池など、広葉樹林の静寂を味わわせ、夕日と会わせ、佐渡にこだわる人たちに会わせ、のんびりをたっぷり味わって貰えば、幸せなリピーターに仕上がります。
これが都市生活者にとって、ヒーリング・アイランド佐渡の魅力です。
地場ものですからと、数が足らず、おかずが違ってもいいじゃないですか。
板前さんが、秘術を尽くした高級なものでなく、しただみや山菜の方がいいのです。
お金のかかった見世物よりも、共に遊び、共感出来るライブがいいのです。
手作りの手工芸や、天然の芸術、野に咲く山野草がいいのです。
佐渡の誇りは、佐渡の魅力を理解する人達、味わった人達、幸せなリピーターたちが礼讚するものではないでしょうか。
観光客のアンケートを採ると、大半が自然が素晴らしいと書いてくれてます。こういう人達に、もうちょっと奥深く佐渡を知って貰えば幸せなリピーターになるのです。これがグリーンツーリズムとも呼ばれているものです。
では、どうしたら幸せなリピーターは増えるだろうか？。
これについては、全島挙げて、狙いを定め、衆知を集めての対策を期待しますが、例えば、たびのもんの非日常の出会いを増やすには・・。
＊ 交通費及び島内移動の不便に対策必要。
補助金を出すなら交通機関に。車搭載費、島内乗り放題の周遊バス、一日３０００円程度の安いレンタカー、例えば軽の箱バン（見通しがよく、ゆったり、荷物も積める）などの実現。
＊ 非日常ガイドマップがない。
金山、名所旧跡、だけでなく、佐渡の礼讚者予備軍、都市生活者にとっての「非日常」マップが必要。今、両津では作られつつありますが、全島を網羅する「非日常」マップが必要です。製作には必ず、たびんもんを手伝わせ、非日常のミスマッチのないようにすることです。
＊ 一泊４０００円以下の素泊まり自炊可能施設。
これからは、休みは増えても、サラリーマンの可処分所得は増えません。
少数の豪遊旅行と、多数の自前型旅行への対応が不可欠であり、中途半端は好まれないでしょう。要は、連泊、滞在型に対応出来るか？です。
滞在し、佐渡の産品を購入してくれれば佐渡の粗利額が上がるのですから。
島外から仕入れたものでは島外業者の営業をしたに過ぎないのです。
自分本位からお客本位に。
＊ 個人客を大事にしましょう。極めて近い将来の主力客です。
＊ 船の中も非日常化しましょう。たびんもんに時間を浪費させぬよう。
＊ 朝は、せかせず、のんびり寝かせてやりましょう。
＊ 宿泊施設は、「非日常」周辺散歩コースマップを備えましょう。
＊ 低稼働率に合わせた宿泊料金設定を見直し、悪循環を止めましょう。
連泊、滞在出来る料金設定が適正な料金です。
＊付録 佐渡「非日常目録」
ア、 自然の産物。
農産物、海産物、果物、山菜類、山野草（栽培して売りませんか？）。
イ、 ２次加工品。地酒、地味噌、自然食加工品、
ウ、 美術工芸、陶芸品（窯元４０家）版画、絵画、写真、体験は尚良し。
エ、手工芸品、（竹細工、染、織物、土人形、ワラ細工、）
オ、体験企画、（野点、陶芸、版画、草木染め、ヨット、ダイビング、シュノーケリング、マイクロ・ライト・プレーン）
カ、 能（能舞台）、文や人形、鬼太鼓、佐渡おけさ、つぶろさし。
キ、釣り、山歩き、キャンプ、海遊び（シュノーケリングは最適）、バイクツーリング、ドライブ。
ク、別荘。
＊ 世界最長のトライアスロン。最長だから意味があるのです。
＊ アース・セレブレーション、日本の音楽業界で世界的といえば、太鼓集団 「鼓童」でしょう、年に２カ月も海外で売れているのですから。
でも、街住みたびのもんのなによりの非日常は、ゆったりと足るを知る人たちと、南限、北限に位置し、四季に恵まれ、海は勿論、高山植物まである静寂、清澄、広大な自然に会うことなのです。
彼らにとっては、空を見上げて天の川が見えることすら非日常なのですから。
一方、ドンデンのロッジが市の予算不足で消えるなど、個人客の否定以外のなにものでもありません。
何はともあれ、身軽に自由にたびのもんが歩ける佐渡にしましょう。
マップを完備し、インターネットのホームページに情報を満載し、佐渡の日常に感激する「たびんもん」を呆れて眺めましょう。(^〜^)
そこそこ良いのが良いな ９９／１月号掲載分
昨年は、曲がり角を曲がった気がする。
世界の、日本の、佐渡の。一方の頂点は他方の底。
盈（み）ちれば虧（か）け、虧くれば盈ちると。
アメリカは頂点に達し、日本は足るを知るべしと悟らされつつある。
佐渡は、観光客がまた減ったと対策の模索を必要とし、再生産を生まない箱物建設行政に赤信号が灯った。
そして今年は、アメリカがもがいてもドルは下落し、日本は外国に嫉妬されない程度の回復を模索せざるを得ず、佐渡は、観光客の好みと粗利収入増を模索する。
佐渡は困っている？困っていれば変れるが・・・。
＊Ｕターンが少なく、農、商業の後継者のいないことか ？。
離島の魅力を知らせる手段として、また、販売に、Ｕ 、Ｉターンの対策に、 インターネット、パソコン通
信をどれだけ活用出来るか。
パソコン通信会員２６６万人のニフティサーブの電子 メール使用数が昨年 １１月、月間１億通を越えた。
一人当たり３９通。同３月比２１８％。
＊旅館、ホテルの稼働率が下げ止まらないことか？
欲しいのは、一泊二日の往復客ではなく、宿泊客だ。
対極の環境に住む都市生活者の憧れは？、彼らの＜非日常＞把握がカギ。
＊道路、防護対策工事で自然が侵されつつあること？。
コンクリートと人造美の氾濫は、佐渡の財産「天然の 美」の喪失。
＊高齢者介護問題の最先進地であることか？。
先進地として対策は注目の的。
＊米の安売りと売れ残りがあることか？。
作る工夫と共に、販売の工夫を。インターネットの活用。
＊佐渡としての粗利額は増えているか？。
観光売上減が一次産品売上に匹敵したというが、佐渡として、観光と一次 産品の粗利額を比べるとどうか。一次産品の自給と島外販売がカギ。
＊市町村ホームページは意見交換の場になるか？。
開かれた情報開示への第一歩、意見交換の場としての掲示板は用意されるのか。
＊佐渡県議選、全島一区は何を変えるか？。
１２月１７日、クリントン大統領はイラク爆撃を命じ、アメリカは虧けはじめた。
問題山積ではある。しかし、問題が多いということは改善効果も大きいということである。
「足るを知る」生き方に注目し、バブルの再来を望まずば、道は開けて来るのではないだろうか。
今年はこれを胸に歩みたい。
足るを知って住むならば、佐渡は素晴らしい！
北見喜宇作 ９８／１１月号掲載分
偉大な先人に感じ入りました。
公共事業、観光収入が減っている、一次産品が買い叩かれる、大変だと云われています。
このうち、公共事業は中央のさじ加減一つでどうしようもないが、その他は何とかなるのではないかと。
佐渡は、都市生活者が欲しているものが溢れている。足りないのは、問題の所在とその対策が周知、理解、納得されていないだけではないだろうかと、先人に気づかされたのです。
先日、金井の尾嵩（おたき）河内ダへ地元の山本瓣明さんに案内していただきました。
いただいた矢辺義雄氏の著書「川上喚涛と北見喜宇作」を読み、１９年の歳月と延べ２０８００余人を掛けた、このダムの建設に尽力した、北見喜宇作の事業家としての業績をこの目で確かめたかったのです。
このダムや泉東沖耕地整理が、１００年近く前の人海作戦であることを思うと、まさに驚嘆すべき業績です。佐渡に通って１３年、改めて感じ入りました。
不作と重労働に悩まされていた人々に、不作の解消と、効率的生産による浮いた労働時間を、耕地の増加、二次加工の生産に目を向けることを提案、指導した、リーダーとしての明察に改めて思いを致したのであります。
何よりも、指導者として畏敬の念を深めたのは、情報共有化により、目的達成を考えていたと思われるからです。
彼の、明治３６年出版、「平泉村村是調査書」によると、
５項目よりなり、
１、平泉村所在群現状梗概
２、同、天然状態
３、同、人為状態
４、同、現状
５、結論
と結んでいますが、過去５年間に溯るデータから分析し、対策を結論しているのです。
その一部は矢辺氏の著書にも一部紹介されてますが、細に入り微を穿った調査と対策を説いております。
この裏付けと結論をもって説得すれば、人々が理解、納得し、一致協力、遂行度が上がったことは想像にかたくありません。
このような、事業家としての手腕に畏敬の念を禁じ得ないのです。
情報を分析し、自らが納得するだけでなく、開示し、関係者の理解、納得を得ることを大事にする手法を採用していたことに。
剛腕をもって、鼻面を引きずって行こうとしたのなら恐らく成就しなかったでしょう。しかも、当時、補助金などはなく受益者負担であったのです。
今、北見喜宇作がいたら、こう言うのではないでしょうか。
現状を分析、開示し、提案を募り、理解、納得を得た上で、挙島一致で事に当たろうと。
財政逼迫、観光、産品の販売不振打開には、先ず自給率を上げてはどうか。
売上が伸びても支払いが多くては利益は残らない。地場の物を増産し、島民各自、自給に一役買うべきであり、余剰を島外へ売り、佐渡としての粗利額を増やそうと。
それは、都市生活者の欲するものは何か、どこを案内すれば、何を生産すれば、どう知らしめ、どう販売すればよいのか、全島に、目的と問題が共有化出来れば、自ずから答えが出ると思われると。
佐渡には偉大なリーダーが数多おられます。
北見喜宇作は、その中でも、もっとも優れたリーダーであり、いつの時代にも通用する真理と哲学を弁えた真のリーダーであると感じました。
公共事業や補助金に頼れない将来を考えれば、佐渡のリーダーが、北見喜宇作に学ぶことを期待します。
「癒しの島佐渡」がセールスポイント ９８／６月号掲載分
「佐渡」が都会地に売れないかと考えております。
「のんびり」の佐渡。「こだわり」の佐渡を。
究極はショッピングンモールを構成したネット通販を志向します。
私は東京生まれの首都圏住まいの後、佐渡に通って１３年。正味６年半ほど棲んでおり、生来のやじ馬根性で人口７万５千、周囲２５０kmの風土の隅々まで知っているつもり。どれ位かって？ さろんもん（佐渡の者）が案内を頼みに来るくらいです。
今では終の棲み処にしようかと片想い。
不思議なことに生まれ故郷の東京については、去年はじめて皇居前広場にカナダ人、浅草雷門へは会津生まれのカミサンに連れて行かれました。生まれ故郷についてはそんなものかも。
佐渡の人は佐渡に劣等感があるようで自らの魅力を認めようとしませんが、日本人の多くは佐渡を知っており、特に都会人はその環境が対極にある非日常性に魅かれております。
その対極性、非日常性が商材とならないかとの発想です。
さて、そんな私が目を付けた＜のんびり＞と＜こだわり＞ですが。
何があるか？，取り扱い商品及び企画を挙げれば
ア、 自然産物。
農産物、（米（コシヒカリ、魚沼産に勝るとも劣らず）、果物、手 打ちそば、
海産物（魚、牡蛎、海草類、貝類）
山菜類、（きのこ、わらび、ぜんまい、蕗の薹、）
山野草(栽培）、（雪割草、エビネ蘭、うちょう蘭、レンゲつつじ、白根 葵、）
イ、 同上 ２次加工品。
酒、味噌、醤油、ワイン、自然食品加工、
ウ、陶芸品（窯元４０家）
エ、手工芸品、（竹細工、染織物、土人形、ワラ細工、）
オ、 体験企画、（野点、能、陶芸、版画、ヨット、ダイビング、シュノー ケリング、ＭＬＰ、座禅、社員研修、砂金取り）
カ、 芸能（能、文や人形、鬼太鼓、佐渡おけさ、つぶろさし）
キ、 観光、釣り、山歩き、キャンプ、海遊び、
ク、 版画、絵画、写真、
ケ、 住宅、別荘、
コ、 そして催し。
世界最長のトライアスロン（今年から世界選手権も。魅力は一般参加の人達、サポートの５０００人に及ぶボランティア、応援の人達）。
アース・セレブレーション（日本の音楽業界で世界的といえば太鼓集団、「鼓童」でしょう、年に３カ月も海外で売れているのですから、これが行うお祭りです）は海外でも有名、彼らにとって新潟とは佐渡です。
お祭りは勿論、あちこちで行われる薪能は売りでしょう。
勿論、なによりの魅力はのんびりこだわっている人たちと四季に恵まれ、海は勿論、高山植物まである自然です。
この企画は１３年の観察から、過疎地の活性化と、都会人の自然及び生産者と接したいという願望に便益を供するものです。
特に佐渡は中央からの公共土木工事という名の補助金を恵まれる反面、何の喜びもない（工夫も必要とされず、従って褒められない上に、余計なものを作ったとか、自然破壊が行き過ぎだとの後ろ指を指される）仕事に従事し、つまらなくなくなるのも仕方ない風土に、２０代が他の世代の半分しかいない現象も当然であり、年々過疎化、高齢化は進みこの点では最先進地域でしょう。
歓びもプライドも得られなければ過疎への道をまっしぐらが当然です。
当面、佐渡にあって他にないものを売る、味を占めれば新たな工夫が販路拡大に貢献するでしょう。すなわち活性化とは歓びと誇りが得られるかどうかです。
過去には全国２位の農機具メーカーが存在し、「おけさ柿」は全国に名を馳せているのですから。
要は電脳行商をイメージしております。
昔、私の町には近在のおばさんたちが各家を毎日訪問し、世間話や、家族の話をしながら親戚付き合いのような産直販売を行ったあれです。
そこには生産者の誇りと消費者の信頼がありました。
ニフティサーブのパティオやインターネットのメーリングリストで佐渡ファンクラブの類いが有効活用出来るとも考えております。
国土庁は中国地方の特産物プロジェクトのメーリングリストを設けておりますが由布院や四万十川の例など興味深い意見が交わされております。
下記は見切り発車をしているＨＰのアドレスです。
ショッピング・モール契約参加者現在２０軒。当面目標１００軒、掲載作業済み22軒程です。ご笑覧を。
「佐渡のこだわり便」と称して、「ヒーリング・アイランド佐渡」が扱います。
http://user.parknet.co.jp/toki/index.html
（このサイトは９９／１２に閉鎖しました）
ショッピングモールとして著名な「楽天市場」などは１００店舗以上を有し、月商５０００万円の実績があると云われています。
ただ、「電脳行商」の特徴を生かしているとは言えません。何故ならば各自のパンフレットを掲載してるに過ぎないからです。
ネット通販の利点は通信により、人と人の触れ合いが生まれることです。
作り手と買い手の心の交流が可能なのです。我々の狙いはそこにあります。
参考にデータの一例を。
元データはＴＶ視聴率調査でおなじみのビデオリサーチ社が昨年実施したインターネット利用状況に関する調査です。
http://www.videor.co.jp/box/acr/acrd/index.html
「趣味・レジャー活動の一環として・・・」という設問ですので、仕事上でのインターネット利用でなく、プライベートでのインターネットの利用実態が反映されていると思います。
因みに興味深いデータを２、３紹介しますと
＜インターネット利用経験率＞
10代 20代 30代 40代 50代
60代 合計
男性 96年 2.0% 8.1 9.4 4.4 3.3
1.2 5.2
97年 7.3 16.8 18.5 9.9 4.7
1.3 10.7
女性 96年 1.4 5.4 3.1 0.9 0.2
0.3 2.1
97年 5.1 9.6 4.6 2.1 1.2
0.2 4.1
＜インターネット利用意向率＞
10代 20代 30代 40代 50代
60代 合計
男性 96年 7.1% 27.1 24.9 16.1 11.2
5.2 15.0
97年 20.2 28.0 29.1 16.3 9.2
4.6 17.3
女性 96年 21.8 23.9 13.0 7.0 3.0
1.1 12.0
97年 33.2 27.3 17.6 9.0 5.9
2.5 15.7
１０代の女性の利用意向率が最も高い！！
ポケベルからピッチ・ケータイへ、そしてインターネットへと・・・
こんな流れでコミニュケーション手段が変化（進化）していくようにも思われます。
目立つのは４０代から上の世代のインターネット空洞化ですね。
彼らは企業社会でもまもなく情報受発信の圏外に取り残されることでしょう。
私などもう「通信」がライフラインですから、メールでやり取り出来ない相手と組むのはもうお断りですね。
確かにネット通販はこれからです。しかし、近々ブレークの予感がしませんか？。
交流革命の実感 ９８／３月号掲載分
佐渡と島外の「交流」という言葉をよく聞く。
最近交流するにすこぶる便利な道具が普及してきた。
お察しの通り、パソコンによる通信である。５０半ばを過ぎた手習いで使い始めたがこれは世の中を革命的に変えるなと実感している次第。
通信といっても大きく三つに分けられる。E-MAILと呼ばれる電子郵便、パソコン通信と呼ばれる特定会員組織での通信、それにインターネットによる交流である。
パソコン通信は３年前から、E-MAILとインターネットは昨年４月からの新米であるが、E-MAILは公私合わせて一日５、６本、全くの筆無精だった私がである（一日２回接続）まさに電話より便利で経済的。
パソコン通信は二つの趣味のフォーラムの４会議室。
仕事関係では八つのフォーラムの４１会議室を回覧し、意見を交換し、情報を収集する。（一日２回接続）。
インターネットで日経新聞を読み、（電話代１００円、必要であればスクラップが可能、朝日も読めます）。
現在、佐渡の物産をインターネットで紹介、販売すべくホームページ作成中故、参考のため検索、リポート、企画に必要なデータの収集も行う。
通信事前事後で何が変わったか？。
電話をするよりE-MAIL（FAXも）する、（証拠も残る）、フォーラムやインターネットによる情報収集、読み取り、意見交換、回答に２時間半を費やすが仕事の効率と不可能が可能になった実感がある。
昨年、通信で知り合った人達とOFFラインミーティング（面接交流）した名刺を数えると６０枚に及んだ。
友人は時間がいくらあっても足りないぞと呆れ顔。
その通り、コントロールしなければ自分のペースは守れない。
可能にするのは当人の目的意識による選択、選別である。
これが出来れば交流する人、情報の質は格段に上昇し、ビジネスであればチャンスが増える。
離島故の交流効率は事前事後の比較など云うに及ばずであろう。
始めるについ尻込みするのはタイピングであろう。日本人はワープロ作業についてはこれから始めなければならない。
世のおじさんは特に敬遠する所以である、しかし３カ月で何とかなります。
得るものの大きさに引き換えたら問題じゃありませんよ。人生が変わります。
昨年春、報告された「ネットワークコミュニティ・両津」による「地域情報化」をして「両津市の産業と生活の将来を考える」などは実は過疎対策として「島内外交流」に革命的ともいうべき変化をもたらす動機となるのではないだろうか。
更なる力強い前進を期待したい。
２０００年度掲載分
２００１年度掲載分
２００２年度掲載分