２００４年度（平成１６年）佐渡市法人所得ランキングに観る　　

「いよいよ望まれる＜環境の島＞の島外交易と六次産業振興」

　２００４年度の佐渡市で公示ランキング入りを果たしたのは２０社であり前年同、島外交易を主とする製造業は新たに増えず、建設業が１２社から７社に減、島内向けサービス業が４社増の７社。
公共事業受注主体の菊池組が首位。携帯部品製造系列のサンアロー化成、テクノサドが２位、３位だが決算期変更で前年比が困難。
復活または新規が６社と建設業との入れ替わりが激しい。
　佐渡経済再生に不可欠な島外交易主体製造業は、２０社中僅かに４社と新規企業が増えないのが今回も課題となって残った。
佐渡農協が１１位から４位に上昇とはいえ、規模からいって寂しい実績。佐渡地場産業に最も向いた六次産業への展開を期待するのだが・・・。
また、かってはランキングの常連だった佐渡を代表する企業、佐渡汽船が３年連続で名が見えず、一次産業ベースの６次産業のお手本として健闘していた北雪（酒造業）も再浮上して来ないのが寂しい。公共事業激減がさらに進みつつある現状で、建設業の衰退が進んだことは改めていうまでもない。
　このランク変遷が物語るのは、改めて地場産業の、公共事業から脱却する産業振興、島外交易製造業への転換進出がさらに焦眉の急であることだろう。
すなわち、佐渡地場産業の基盤として＜粗利率の高い＞一次産業をベースに、その二次加工産業の振興が望まれ、島外交易の活性化、すなわち、一次＋二次＋三次産業＝六次産業こそ佐渡の生命線であると再認識するなら、エコアイランド佐渡としてエコツーリズムを中心とした観光産業も生き還る方策が見えて来るだろう。
島外交易製造加工業４社、サンアロー化成、テクノサド、丸金商事（以上、携帯電話部品製造）、及び佐渡精密は、素材を島外 から仕入れ、製品を首都圏、あるいは国外へ販売しており、佐渡において最も不利な業態といえるが、その中でも、佐渡精密は特に注目すべきだろう。
　なぜならば、数十人規模の小企業でありながら、首都圏競合先相手という、最も競争の激しい分野、地域相手の好業績であり、その営業及び金属加工技術に於ける地道な努力がランキングの常連という結果を果たしているからである。
もし、その成果に倣い、佐渡産原料、技術陣共に豊富な佐渡一次産業をベースに二次加工産業を興し、佐渡ブランドを背景に六次産業としての拡販伸張は、金属加工業よりもはるかに有利な営業展開が見込めるはず、それに転用出来る人材と設備を備えた建設業などには、最も有望な異業種進出といえるのではなかろうか。
　昨今のバイオマスニッポン構想、バイオマスにいがた構想などを追い風に、トキを冠に出来る環境型六次産業は佐渡に最も適した、得手に帆を上げる世界に向けた地場産業として成り立つ筈と、今回のランキング結果からも将来に大いなる希望を感ずる次第。
一方、持続可能な社会へ向け、世界に誇れる環境問題先進地として注目されるなら、国際空港もはじめて必要になってくるであろう。
佐渡には、佐渡独自の事情があり、マクロ景気対策における一般論での対策は見当外れであり、独自の個別具体策が要求されるのである。

２００４年度（平成１５年４月〜１６年３月期）、佐渡市公示法人所得ランキング（申告所得４０００万円以上）
申告利益４０００万円以上法人について、直近６年間とバブル期（９０，８９年）を記載した。（但し、期間は同一とは限らない）
期間＝２００１年以後は４月〜３月期、２０００年迄は１月〜１２月期、　１９９９年以前は４月〜翌年３月期、　単位千円　　　　　　

順位 前年 商号 ０４年所得額 ０３年所得額 ０２年所得額 ０１年所得額 ００年所得額 ９９年所得額 ９０年所得額 ８９年所得額
１ ー 菊地組 ４８１、２４７ ー ２１９、３５６ ４３７、１０５ ５６５、３７２ ５２９、９４６ ２５８、６４２ ２５３、０１９
２ １ サンアロー
化成　		 ４２８、７７７ ＊４４１、１２７ ２０１、５５２ １４０、４５５ ５８７、２２１ ６７８、８７５ ８１、８８１ ６７、０６５
３ １２ テクノサド ２８３、８１２ ＊６４、４１７ ３１９、１８０ １２４０、７７８ ５７４、４１１ １９６、５５４
４ １１ 佐渡農協 ２６１、９９０ ６６、０１４ １８、１５４７ ２８２、０８０ ２０７、１３０ ２００、５３２ ４６１、５０２ ４６７、１０７
５ ２ 遠藤建設 １７９、６３９ ３２８、３９０ ３８９、４０７ １２９、２７１ ５０４、４２０ ２５１、７９　５ ２７５、２１１
６ ３ 近藤組 １１２、７４８ ２６２、４２５ ９８、１１４ １８５、４００ ３６２、３０３ ４５６、３６１ １５５、３９０ ４２５、５５０
７ ー おけさ会 １１１、８９０
８ １７ 大和産業 ９５、７８０ ４８、８２９ １１５、０９２ ９７、２７９ ２１３、２９７ ５２、２６３ ４２２、９６４ ３１１、１０１
９ １４ 伊藤建設 ９１、１２２ ５９、０１２ １２５、３６９ ７５、０８０
１０ ー 根岸組 ９０、６４６
１１ １０ フレッシュ
マツヤ		 ９０、１９４ ７２、３８１ ４１、４７６ ４８、４９７ ４７、０９７
１２ ８ 丸金商事 ７４、３７３ ８６、３３９ ６７、３８３ １３１、０７３
１３ １３ 佐渡精密 ７２、３６４ ５９、１３５ ６０、０２６ ４４、０６６ ８３、６４７ ６３、６５８ ７３、０８５ ４０、３８０
１４ １５ ハッピース
テーション		 ７１、１８４ ５５、８５２ ４９、１０５
１５ ５ 渡辺産商 ５８、９０９ １６６、２０４ ６８、３６４ １３２、８４５ １９１、１３９ １９７、２０８ １２０、８２７ １５４、３１９
１６ ー マルゴ味噌 ４７、６０９ ５７、３２０ ９３、９８３ １６２、６６２ ８１、３７７ ３１５、６７４
１７ １８ 萩田換地 ４５、９６０ ４８，３０３
１８ ー 日興 ４２、９９７
１９ ４ 北陸建材 ４０、４８８ ２０８、６９０ １４２、８９４ １５７、２９９ １４４、５１６ １３７、３８８ ９４、２２９ １１６、３０９
２０ ー マルゴ商事 ４０、３６７
０３年 ０２年
６ ー 本間建設 １３４、５７７ ２４７、３９５ ４６０、０８１ ３４６、５７２ １８４、２２８ １６０、３７０
７ ー 廣瀬組 １２８、８８５ ８１、９６４ １６４、４２４ １４９、８００ ７９、４４８ １４４、５８２
８ １１ 共栄建設
工業		 １０３、６３６ ６９、１７２ ９４、４１０ １２９、６５５＊ ２３０、２６５ １５０、０９４ ３０５、１２０
９ ９ 北陸生コン
クリート		 ８２、１４０ ８２、７５３ ８７、４９６ ６２、８８７ ４０、２３７ ６９、６１５ ７９、８９６
１０ ー 堂谷組 ７８、２９５ ９１、７４８
１４ １６ 佐渡生コン ５６、４１２ ４８、４７４ ７２、７７９ １１３、７００ ８５、６６２
１６ ー セコム佐渡 ５３，８３６
１９ ー 佐渡木材 ４６、９９７
２０ ー 渡辺建設 ４５，２９８
０２年 ０１年
１５ ー 岩崎建設 ５８、０６８ ４７、４２６ １５１、７２４
１７ ２６ 北雪酒造 ４３、２８６ ４０、６７０ ４２、５５９ ４２、００１ ４５、９１７
１８ ー 向山組 ４２、６４７
０１年 ００年
４ ２０ ビッグバーン ３２４、４２０ ６５、５８９
１１ １４ 中野建設 １１８、３３２ １２８、６５９ １９７、４９１ １６９、７１０
１５ １７ エスピーア
ラーム佐渡		 ８１、９３２ ８７、７６１ ５９、５２０
１６ ー 計良建設 ８０、９４０
１９ ー ピーシーエヌ ５８、７４４
２２ ー （有）花善 ４４、１９２
２３ ー （有）佐渡
リース		 ４１、５０５
＊ １９ 佐渡汽船 ７４、６５９ ２１５、００７ ８５６，０００ ５２４，５１６
＊注１全県比較：１位の菊池組は９７位、２０位のマルゴ商事は１２４５位。

　新潟県全体では、前年比１２５４社と６８社増、５・７％増。しかし、所得金額は２６９０億円、前年比１・４％減。地銀２行の公示対象外が効いた。尚、
新潟県公示社数、２００３年１１７２社、２００２年１１９５社、２００１年１２７２社、２０００年１３２６社、１９９９年１３１６社、１９９８年１２６９社、１９９０年１９９６社、１９８９年１８５２社。
注２、＊は決算期変更年換算
＊参考、２０００年ランキングには、その他に以下の企業が入っていた。佐渡汽船（１９）、根岸組（２２）、司精研（２３）、堂谷組（２４）、真野建設興業（２５）、佐渡急送（２６）、ハッピーステーション（２７）、渡啓組（２９）、入川砕石（３０）、丸二砕石（３１）、等が載っていた。
＊平成２年までは、期間が０２／４〜０３／３。

注３　上表以外で１９９０年ランキングに入っていた企業。ワールド開発（５）、ゴールデン佐渡（７）、広栄興業（８）、共栄建設工業（１２）、佐渡汽船運輸（１３）、堂谷組（１７）、羽茂農協（１８）、国府証券（１９）、加茂水産（２５）、精電舎（２６）、ムラタ興業（２７）、佐渡急送（２８）、真野農協（３１）、佐渡大商（３２）、尖閣湾揚島観光（３３）、朱鷺の郷（３４）、小木観光（３５）、尾畑酒造（３６）。
＊佐渡農協１１年度以後は合併後の数字。
＊佐渡汽船は、佐渡汽船運輸と別会計。

＊参考
２００３年度ランキング　２００２年度ランキング　２００１年度ランキング

佐渡産業シェアの実態
佐渡市（合併前１０市町村合計）平成１２年度純生産実績
http://homepage2.nifty.com/sadogashima/datasad5.htm
産業構成比円グラフ
http://homepage2.nifty.com/sadogashima/datasado.htm
公共事業費折れ線グラフ
http://homepage2.nifty.com/sadogashima/datasad3.htm

産業シェア明細（平成１２年度純生産実績）
建設業１８・１０
サービス業１７・１０
政府サービス生産者１７・０７
金融・保険・不動産業１３・３５
製造業１０・７７
卸・小売業９・８１
運輸・通信業６・１６
農業３・９２
対家計民間非営利サービス生産者２・８４
電気ガス・水道業２・３２
水産業１・５８
林業０・０２
鉱業０・０１

＊　佐渡産業シェアの実態と住民の認識の差が、あまりに甚だしいのでご案内。
平成１０年度実態
建設業、２０・５
政府サービス生産、１８・７（行政サービス）
サービス業、１５・５
金融保険、不動産業、１０・２
製造業、９・０
卸売り・小売、７・３
運輸・通信、５・５
対家計非営利サービス、５・０（学校，病院）
農業、４・２
電気・ガス・水道業、２・０
水産業、１・７
林業、０・３
鉱業、０・１
計１００％
　また、観光業についてはサービス産業、運輸、通信業に入っており、単独では分かりません。
８６年のデータでは６・１％という数字がありますが、今は、もっと低いと思われます。
＊実態：新潟県統計課「新潟県市町村所得」より、Ｈ１０年度佐渡圏市町村純生産構成比。
　
島内住民アンケートとの比較（広域圏組合、平成１３年実施、前の数字がアンケート結果）
農林水産業、６９・３％に対し６・２％、
建設業、６・３％に対し２０・５％、
工業、製造業、３・２％に対し９・０％

　加えて、政府サービス生産、１８・７（行政サービス）、対家計非営利サービス、５・０（学校，病院）等のシェアについては全く認識されていません。
尚、行政予算の７９％は補助金であり、農業収入の４割は年金、仕送りという実態がある。
全産業トータルでは、補助金の占める比率が２／３に及ぶのではないかと推定される。
この認識で、佐渡の将来図、対策がなされつつあるということが問題です。
　しかも、補助金行政は、無い袖を振れぬため自立自助へと転換を余儀なくされており、わが国の公共事業は、欧米の３倍、離島振興費の１５％を占めている佐渡は最も影響されると思われる。

更に参考
佐渡市総人口 68,848 人 男 32,831 人 女 36,017 人 世帯数 25,391世帯（ 平成17年8月1日）、 面積、８５４・８キロu。周囲、２６４ｋｍ。
米を住民分の１０倍近く作り、１０００ｍを超える山脈もあり、海水浴の１０分後には森林浴が楽しめ、＜岩魚が釣れるところから海が見え、リンゴの南限、ミカンの北限＞、の島である。

　以上から、やはり、マクロ(一般論）とミクロ（個別論）は全く違うと云わざるを得ない。
したがって、個別対策の必要不可欠を物語っており、佐渡は一次産業とその二次加工、すなわち六次産業島外交易ビジネスが最適不可欠な所以であります。

　２００２年１１月、かねてより、継続可能な社会運動に重ね、佐渡の自立的活性化に向けた有機農業普及活動として、「土の会・ときめき佐渡」の活動を開始しました。
当会は、資源リサイクル有機堆肥製造から始まり、それによる産物の六次産業島外交易振興を目指し、佐渡の自立的経済活性化を目的とするものであります。
これへ向けて進むならば、イギリスの自立の島「マン島」を超える、誇りを持てる自適の島になれることでしょう。

明日の佐渡「マン島」
http://homepage2.nifty.com/sadogashima/man.htm
小説「旗は翻った」
http://homepage1.nifty.com/kameis/pride.htm

以上　０５／９／２

文責：亀井省吾　泰研究所代表
ハンドル＆ペンネーム、泰（たい）、青（しょう）、ｓｙｏｗなど。
埼玉事務所：〒３３８−０８２２埼玉県さいたま市中島１−７−７富士見マンション２０６
ＴＥＬ０４８−８５３−０９２３
佐渡事務所：〒９５２−１２０９新潟県佐渡郡金井町千種１００８
ＴＥＬ０２５９−６３−４５４４
E-Mail 　kameis@nifty.com

関連リンク
組織を活性化する　泰研究所
http://homepage1.nifty.com/kameis/
佐渡旅情報「佐渡ヶ島悠遊」
http://homepage2.nifty.com/sadogashima/
NPO「土の会・トキメキ佐渡」
http://homepage2.nifty.com/sadogashima/yuukiall.htm
佐渡の将来を考えるＭＬ「わたしたちの佐渡」

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